
2008.1.21 第2266例会
「現代の公教育と中学受験事情について(我が家の経験談)」
卓話 上田 斉 会員
以下の文章は、私の幼稚園に通っている子どもたちの保護者を啓発するために書いた内容です。
現代の公教育の状態と中学受験の状況について、非常に興味深く、また有益な情報だと思いましたので、皆様ともこの情報を分かち合いたいと思いました。
これは私の家族の体験談です。どこかの本で読んだ内容とか、聞いた内容ではありません。実体験そのものです。
(幼稚園の保護者の皆様へのメッセージ)
今から10年後の未来を見てみましょう。
今、2歳のお子さんなら12歳。ちょうど小学6年生ですね。次は中学校です。さて、その頃皆さんのお子さんの目の前には、どのような景色が広がっているのでしょうか・・・。
今回は、皆さんより10年先ゆく私の(ごく最近の)経験をご紹介いたしましょう。
そもそも事の発端は、去年6月。 うちの娘(小6)が、とつぜん「私立の中学校へ行きたい!」と、言い出したことに始まります。
正直私はおどろいてしまいました。私としては、少なくとも小・中学校は、地元の公立学校。まあ、高校受験の時は私学もアリかな?って思ってたけど・・・まさか中学受験?
実は私は今の今まで、どちらかというと「お受験なんて!」という具合に、わりと早期の受験に否定的な見方をしていました。ですから、この娘の申し出には、すっかりびっくりしてしまいました。
とは言え、かわいい娘の自主性はやはり尊重してあげたい。そこで、ある学習塾の門をたたいてみることにしました。
「え・・・・今からですか!?」開口一番、塾の人が言ったひと言がコレ。
「やっぱり、遅すぎますか?」と、私。
「ウ〜ム。・・・まあ、とりあえず、もうすぐ模試があります。ですから それを受けてみられてはいかがですか? その結果を見てお考えになった方が・・・」
塾の人は、なるべく私をキズつけまいと気を遣い、言葉を選びながら助言してくれてる様子。やっぱり遅すぎるのか・・・
私の娘は地元の公立小学校に通っています。成績はというと、まあわりと普通に100点とか95点とか、点のついたテストを持って帰ってきます。ですから親の私としては「そこそこできてる」とすっかり安心していました。
しかし、今回受ける模擬試験というものは、そもそも塾に通って勉強し続けてきた賢いお子さんたちばかりが受ける試験。だから正直、かなりカライ結果は覚悟してました。そして、いよいよ6月末、私の娘の記念すべき最初の模擬試験の結果は、どうだったか!?
結果は・・・科目によっては・・・な、なんと、約3,000人の全受験者中・・・ビリから3番目!だったのです!(ホント。証拠の成績表もあります)言い方を変えれば、サカサマ3位入賞!堂々の銅メダル獲得です!まさか・・・これ程までとは・・・思いませんでした。
私はこの時初めて、圧倒的な差の存在というものに気づかされました。今のゆとり教育のもとで、いくら学校で100点取っても、受験の世界では、まったく歯が立たない。相手にならない。
誤解しないでください。私はここで何も、お受験をすすめたいわけではありません。小→中→高と、公立オンリーで行き、大学受験に挑戦するという行き方は理想的だと思います。
ただ、私たちはどうしても自分自身の経験、自分が子供だった頃の常識で判断しがちです。現実にはかなり時代が変わっている。私たちが子供だった頃とは世の中の情勢が全然変わってしまっているのです。そのことを知ったうえでキチンと判断しないと、後々後悔する可能性が大きいと思うのです。
さて、私の娘のその後について。
6月に生まれて初めての模試を受けて7月から入塾。8月、9月、10月、11月、12月(先月)・・・と、塾に通い続け、つごう半年がたちました。
そもそも、本人が「やりたい」と言ってやったこと。そして、本人自身、かなりの危機感を持って、勉強をがんばったらしいこと。
その結果、入塾当初、初めての模試で28だった偏差値(ドラゴン桜の水野直美でさえ30はあった)も、60前後にまで上がりました(かなり劇的上昇です)。どうやら希望する学校の合格圏内にも入れたもよう(ホッ)。(もっとも結果はこれから、本番は今月中頃です)
さて、今回の経験を通して、とても驚いたこと。私にとって、とても意外だった事実が3つあります。
まずは意外な事実、1つめ。
私たちって、ふつう塾に通わせるというと、「かわいそう」ってイメージありませんか?
学校帰ってから夕方塾に行き、夜遅くまで勉強する・・・な〜んか、カワイソ〜って思いません?少なくとも私は思っていました。ところが、現実には・・・
実際、小6の娘が塾に通いだしてみると・・・えらい張り切って喜々として、毎日塾に通うのです。父親の私が、「今日はどっか食べに行かへん?」とか言うと、「ゴメン。今日は(晩の)10時まで勉強やるねん!」
意外な事実2つめ。・・・結構、私立の中学校っていっぱいある。
ふつう私立の中学校っていうと「狭き門」ってイメージありません?現実には、このあたりから通学可能な私立の中学校って、かなりたくさんあります。レベルはピンキリ。とてつもなく難しいところもあれば、ぜんぜん易しく入りやすいところもあります。ただ単に「私立でさえあればいい」ということなら、どこなと入れます。(ただし、受験前の塾通いは、やっぱり必要だと思う)
そして最後、意外な事実3つめ。
塾は遅々(おそおそ)に入っても(小6から入っても)結構イケるもんやということ。
入塾当初、娘は「こんな世界もあったんや!」という、カルチャー・ショックを受けたと思います。そして、他の子どもたちから圧倒的に引き離されているという事実。危機感もあったでしょう。また、学校以外で1日に何時間も勉強するという生まれて初めての生活習慣。そこに新鮮さや、もしかしたらある種の面白さを感じたかもしれない。
いずれにしても、娘は熱心に勉強を続けました。
初めの数ヶ月(7月〜10月くらいまで)パッとしませんでした。でも、11月くらいから急に成績が上がり始め、12月(先月)には一気に合格圏までいけたのです。
あと、娘は小さい頃から絵本が好きでした。小学校に入ってからも、好んでよく本を読んだり、短編の物語を創作したりしていました。
そのせいか、塾に入ってしばらくして、真っ先に成績が伸びたのが国語でしたさらに嬉しいことに、今月行われた塾内テストで国語の点数が、塾のクラス中、な、なんと!トップになったそうです!嬉しい!(←親バカ)
私は、受験勉強の期間は、できれば、なるべく短い方が良いと考えています。なぜなら、勉強以外に経験させてあげたいことが、いっぱいあるからです。
音楽・絵画・身体を動かすこと。いろんな所に連れて行ってあげたい。見聞を広めさせてあげたい。
それと、私が娘に言ってることがあります。
「自分で望んで勉強してるんだから、まあ、がんばんなさい。
ただし、本当の勉強は大学卒業してから始まるからね。
大学卒業までに勉強のエネルギーをぜんぶ使い果たしたらあかんよ」
学歴に一定の価値を認めつつも、過信しないように、その価値の限界も知った上で、せいぜい向上心を持って、これからも前向きに生きていってもらえたらな〜って思っています。「本当の勉強・勝負は、すべての学校を卒業した後、始まるからね!」